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関西学院大学 情報工学課程

情報通信理論研究室

  • 情報理論とその応用
  • 符号化
  • ディジタル通信
  • 暗号・情報セキュリティ

効率・信頼性・安全性が高い情報通信システムを実現する符号化技術

スマートフォンで快適に通信を行うためには,効率・信頼性・安全性が高いことが必須の要件になります.これらを実現する技術として,データをできるだけコンパクトに表現する「データ圧縮」,ノイズが加わって受信された信号から送信データを復元可能にする「誤り訂正符号化」,通信内容の盗聴やなりすましに対して情報の漏洩などを防ぐ「暗号・情報セキュリティ」があります.皆さんが通信をする際にもこれらの符号化と呼ばれる処理がスマートフォンの内部で行われてから電波に乗せて情報が送信され,また受信をするときも同様の処理を行っているのです.符号化の方式を開発するとともに,それらの理論的な性能限界を明らかにする情報理論という分野とその応用を研究しています.

ここでは,誤り訂正符号を取り上げましょう.このページの下部の画像右側のQRコードにはかノイズが乗っているため,埋め込まれているデータの復元するのは難しいと思われるでしょう.しかし,実際にスマートフォンのリーダで読み取ってみると,左側の元のQRコードと同じ情報が読み取れるため,誤り訂正符号の威力を体感できるはずです.このような符号化技術が未発達であると,メッセージを受信しようとしてもスマートフォンの画面では意味の分からない記号列に置き換わってしまい,画像も汚れたままのものが表示されてしまうでしょう.5G(第5世代携帯電話)やIoTの時代には,多数の端末が同時に送信や受信をしたり,中継を行う通信が多くなるため,それに適した高度な符号化の方式を開発することも最近では重要になっているのです.
ネットワーク上で使われている暗号技術は,現在のコンピュータの計算能力では解読が難しいと信じられていますが,それが本当であるかは誰も証明できていません.このため,暗号を解読する手法が編み出されてしまう懸念が残っており,もしそれが現実になると世界中が大混乱に陥るでしょう.このような問題を解消できる,攻撃者の計算能力がどれほど大きくても原理的に安全な暗号やセキュリティにも関心を持っています.ここでは,通信の品質を低下させる厄介な存在であるノイズのランダム性が安全性の確保に役に立つことが面白いところです.
また,情報理論は情報処理に関する基礎理論として,ディジタル通信のみならず周辺分野に応用を広げています.例えば,人工知能(AI)・機械学習の手法をデータ圧縮や誤り訂正符号の処理に取り入れたり,逆に情報理論や符号理論の成果をAIの効率化に活かす研究も進めています.
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