「プログラミング演習」で C言語実習を行うためのCygwin環境について

1. はじめに

C言語に限らず多くのコンピュータ言語は，（１）プログラムの編集（エディット），（２）機械語への翻訳（コンパイル）を経て，（３）実行（エグゼキュート）されます．これまでのプログラミング演習Ⅰでは主に Visual C の環境を使ってきました．そこではボタンのクリック一つでその時点で編集しているプログラムが，自動的に翻訳・実行されます．しかし，ソフトウェアシステムの構成を学ぶためにも，この３段階をはっきりと意識して操作する環境を利用することが，将来の学習全般にとって有意義です．このような環境として典型的なものが，C言語の生い立ちと深い関わりを持つ UNIX オペレーティングシステムです．
実習室の PC では， Cygwin(*1) が利用可能となっています．Cygwin は UNIX オペレーティングシステムの環境を Windows 上でエミュレートするためのソフトウェア環境です．この解説では，C言語プログラムの翻訳，実行に最低限必要な部分に限って，この環境を使用するための簡単な解説を述べます．
(*1) Cygwin は RedHat 社の提供するフリーソフトウェアです．ダウンロードサイト ( http://www.redhat.com/software/cygwin/ ) から入手できます．
なお，Cプログラムの編集には，エディタと呼ばれるソフトウェアを使います． Visual C では開発環境にエディタが組み込まれていました． Cygwin にもエディタが含まれていますが，ここでは Windows 上のエディタである「メモ帳(Notepad)」を利用します．また，より便利なエディタとして TeraPad (*2) を紹介します．
(*2) TeraPad は寺尾進氏( http://www2s.biglobe.ne.jp/~t-susumu/toclip/ )の作成したフリーソフトウェアです．窓の杜 ( http://www.forest.impress.co.jp/library/terapad.html ) などから入手できます．

2. Cygwin の起動とディレクトリ

Cygwin の基本となる操作はコマンド入力です．まずスタートメニューから，「スタート→プログラム→Cygwin→Cygwin Bash Shell」とたどって，Cygwin を起動しましょう．黒い画面のウィンドウが開き，利用者名@マシン名 ~ が先頭行に，次の行に $ が表示されているはずです．

user01@PC001 ~
$
この prompt （入力要求）に続けてコマンドを入力し，[Enter]キーを押すと、コマンドの結果が表示されます．UNIX の世界では，このコマンドを処理するプログラムを shell と呼ぶ習慣になっています。Bash (Bourne-Again shell) はその一つです。
以下の説明では簡単のため prompt を $ のみで表します．
例えばコマンドの後に書かれた文章を表示するコマンド echo を使ってみましょう．

$ echo Hello world! [Enter]
Hello world!
コマンドに続けて書いた文章がそのまま表示されました。このようにコマンドを使ってコンピュータに指示を出すインタフェースをコマンドラインインタフェースと呼びます．
Windows では１群のファイルをフォルダとしてまとめ，階層的に管理しました． Cygwin ではフォルダに変わって，ディレクトリ（directory）という言葉を使いますが，概念的に同じものです．ただし， shell の操作中は，作業ディレクトリがファイルシステム中のどこかのディレクトリに設定されます．起動直後は，あなたのホームディレクトリが作業ディレクトリとなっています．上の行にある ~ はホームディレクトリの略記です．
それでは，今あなたが作業しているこのホームディレクトリは，実際にはどこにあるのでしょう．作業ディレクトリの名前を調べるコマンドが pwd です． prompt の $ の右に pwd と入力すれば，現在の作業ディレクトリ名が表示されます．

$ pwd [Enter]
/cygdrive/z
これがあなたのホームディレクトリの場所です．実習室の PC の設定ではこの場所は， Windows の「マイドキュメント」に相当します．ディレクトリの区切にはWindowsの「\」の代わりに「/」を使います． pwd は (print working directory) の略．コマンド名に極端な省略形が使われるのも UNIX の特徴の一つです。
　
実習室の PC にインストールされた Cygwin では，ファイル名やディレクトリ名に日本語(全角文字)が使えません．必ず英数字で名前をつけましょう．
　
ファイル名やディレクトリ名には英数字の他に一部の記号が使えますが，オペレーティングシステムの使う特殊ファイルとまぎらわくなるので，お勧めできません，ファイル名やディレクトリ名を読みやすくするために「_ 」を使う程度にしましょう．授業の各回に合わせて，「 R1 」などのディレクトリを作成し，その中に提出用のプログラム「 R1_1.c 」「R1_2.c 」などをおきます．
　
mkdir (make directory) コマンドを用いて作業ディレクトリの下に新しいディレクトリを作りましょう．

$ mkdir dir1 [Enter]
　
cd (change working directory) コマンドで，今作った新しいディレクトリを作業ディレクトリにします。

$ cd dir1 [Enter]

　
ls (list directory contents) コマンドで，新しい作業ディレクトリの中に入っているディレクトリやファイルを表示します。dir1 は今作ったばかりのディレクトリなので，空っぽです．何も表示されません．

$ ls [Enter]
　
通常 cd コマンドの後に指定されたディレクトリ名が作業ディレクトリになりますが、ディレクトリ名なしで cd コマンドを入力すると，ホームディレクトリが作業ディレクトリになります．実習室のＰＣでは「 /cygdrive/z 」です．

$ pwd [Enter]
/cygdrive/z/dir1
$ cd [Enter]
$ pwd [Enter]
/cygdrive/z

さて次節ではいよいよファイルを作成します．

3. エディタによるプログラムの作成とファイルの保存

3.1 スタートメニューから起動

プログラムを作成・編集するために「メモ帳(Notepad)」をスタートメニューから起動しましょう．「スタート→プログラム→アクセサリ→メモ帳」を選択．メモ帳が起動し，編集用のウィンドウが表示されます．次のように入力してみましょう．

/* prog1 - print a message */
/* Apr. 1, 2003 by (username)
*/
#include <stdio.h>
int main ( void )
{
printf("Hello World!\n");

return 0;
}

メモ帳のファイルメニューから、作ったファイルをセーブします．「ファイル→名前を付けて保存」を選択．ダイアログが表示されたら，保存する場所を「z:\dir1」，ファイル名を「prog1.c」として保存ボタンを押します． dir1 は前章で作ったディレクトリ名です．メモ帳のファイルメニューから、「ファイル→メモ帳の終了」を選択し，メモ帳を閉じます．

Bash のウインドウで， ls コマンドを入力し，ファイル prog1.c ができていることを確認してください．

$ cd dir1 [Enter]
$ ls [Enter]
prog1.c
次に Windows 上でフォルダをたどって，同じファイルを確認してください．場所は z:\dir1\prog1.c です．

3.2 コマンドによる起動

前章で作ったディレクトリ dir1 にある prog1.c をメモ帳で編集するためには，次のようにコマンドを入力します．

$ cd dir1 [Enter]
$ ls [Enter]
prog1.c
$ Notepad prog1.c [Enter]

す．

3.3 TeraPad の利用

この節では、より便利なエディタとして TeraPad を紹介します．
　
TeraPad をシンプルにスタートメニューから起動してみましょう．「スタート→プログラム→ツール→TeraPad」を選択．TeraPad が起動し，編集用のウィンドウが表示されます．記号 [EOF] は (end of file) の略で，ファイルの最後を表しています．
　
メモ帳と同じような使い方ができますが，たとえばＣ言語のプログラムに自動的に行番号を付けてくれるなど，便利な機能が追加されています．

shell のコマンドとして，TeraPad を起動することもできます．前章で作ったディレクトリ dir1 にある prog1.c を TeraPad で編集するためには，次のようにコマンドを入力します．

$ cd dir1 [Enter]
$ ls [Enter]
prog1.c
$ /cygdrive/c/Program\ Files/TeraPad077/TeraPad (改行しない)
"/i=$USERPROFILE\Application Data\Private Profiles" prog1.c [Enter]

２行に分けて書きましたが，改行せずに１行で入力してください．１行目の最後に (space) が入っているので注意． Windows のフォルダ名「Program Files」中に (space) が入っています． Bash は通常 (space) をコマンドの区切りとして処理しますので，この (space) の前に「\」記号を入れて，コマンドが切れないようにします．「\」はエスケープ文字と呼ばれ shell で処理されます．Windows のディレクトリの区切り記号ではないので注意してください．
prog1.c の修整が終わったら，TeraPad のファイルメニューから、「ファイル→終了」を選択．「内容が変更されています。変更を保存しますか？」というダイアログに「はい」と答えて，変更内容を保存します．

これでは，コマンド入力が長くて大変ですね．TeraPad の名前だけで起動できると便利です． Bash には長いコマンドを短く登録する alias という機能があります．Dホームディレクトリで次のコマンドを入力してください．

$ cd [Enter]
$ Notepad .profile [Enter]
ホームディレクトリに .profile というファイルを作っておくと，shell のいろいろな設定ができます．メモ帳の編集ウィンドウで次のように入力してください．

alias TeraPad='/cygdrive/c/Program\ Files/TeraPad077/TeraPad (改行しない)
"/i=$USERPROFILE\Application Data\Private Profiles"'
２行に分けて書きましたが，改行せずに１行で入力してください．１行目の最後に (space) が入っているので注意．メモ帳のファイルメニューから、「ファイル→メモ帳を終了」を選択．「内容が変更されています。変更を保存しますか？」というダイアログに「はい」と答えて，変更内容を保存します．それから exit コマンドで一度 Cygwin を終了し，スタートメニューから「スタート→プログラム→Cygwin→Cygwin Bash Shell」とたどって，再度 Cygwin を起動してください．

$ TeraPad [Enter]
と入力してみてください．TeraPad のウィンドウが表示されましたか？表示されない場合は，上記の設定が正しく行われているかよく確認してください．表示された場合は TeraPad のファイルメニューから、「ファイル→終了」を選択し，一度終了します．
前章で作ったディレクトリ dir1 にある prog1.c を TeraPad で開いてみましょう．

$ cd dir1 [Enter]
$ ls [Enter]
prog1.c
$ TeraPad prog1.c [Enter]
TeraPad のファイルメニューから「ファイル→終了」を選択してください．特に内容を修正しなければ，保存の確認ダイアログなしで終了します．もう一度同じようにして prog1.c を TeraPad で開いてください．今度は何か修正を加えてから「ファイル→終了」を選択してください．「内容が変更されています。変更を保存しますか？」というダイアログに「はい」と答えて，変更内容を保存します．このように，shell のコマンド行から「$ TeraPad (編集するファイル名)」として起動すると，作成・編集したファイルを保存するときに「名前を付けて保存」ダイアログによって保存する場所を注意深く指定する必要がなく，たいへん便利です．

3.4 練習

自分のホームディレクトリに「programming」という新しいディレクトリを作成し，それを作業ディレクトリにします．コマンド行から作成するファイル名 sample.c を指定してメモ帳を起動します．

$ cd [Enter]
$ mkdir programming [Enter]
$ ls [Enter]
dir1 programming
$ cd programming [Enter]
$ Notepad sample.c [Enter]
メモ帳の編集ウインドウが開いたら，”Editors & Cygwin”と印字するC言語のプログラムを作成して，保存してください．
［コメント１］同様の操作を Windows のフォルダをたどって行ってみてください．場所は z:\programming\sample.c です．スタートメニューから，TeraPad を起動した場合は，プログラムを入力する前に空のソースプログラムを sample.c というファイル名で保存しましょう．（後の編集作業でC言語に適した操作が可能となります．）その後で ”Editors & Cygwin” と印字するC言語のプログラムを作成し，上書き保存します．なお，ファイルやディレクトリの名称は，英数字だけを使ってください． Cygwin は全角文字には対応していません．
［コメント２］世の中には実に多種のエディタがあります． Windows のアクセサリにあるメモ帳（Notepad）や，非常に高機能だが最初ちょっと戸惑うかもしれない Emacs や mule ， Unix の基本エディタとも言える vi ，またシェアウェアとして有名な TeraPad や秀丸などがその例です．単純に文字列を編集する目的のソフトウェアですが，利用する時間が長いため，利用者の好みが大きく出るところです．機会があれば他のエディタも試してみてください．

4. ファイルとディレクトリの操作コマンド

4.1 いろいろなコマンド

Cygwin (UNIX) には，第２章に述べた pwd, cd, mkdir など，いろいろな操作コマンドがあります．よく使うものを紹介しておきます．

コマンド名	何の略？	説明
pwd	print working directory	作業ディレクトリの名前を表示
cd (directory_name)	change working directory	作業ディレクトリを設定
mkdir (directory_name)	make a directory	ディレクトリを作成
rmdir (directory_name)	remove the directory	ディレクトリを削除
ls	list directory contents	ディレクトリ内のファイルやディレクトリを表示
ls -a	list all contents	「．」から始るファイルも含めて表示
ls -l	list contents with long format	より詳細な情報を表示
cp (filename) (new_filename)	copy a file	ファイルを複製
mv (old_filename) (new_filename)	move (rename) the file	ファイルやディレクトリの名前を変更
mv (filename) (directory_name)	move (rename) the file	ファイルを指定したディレクトリに移動
rm (filename)	remove the file	ファイルを削除
cat (file1) (file2) ...	concatenate	ファイルを結合して内容を表示
less (filename)	more というコマンドの拡張版	１ページごとに表示
diff (file1) (file2)	difference of files	２つのファイルを行単位で比較

4.2 練習

以下の操作は Windows のフォルダ操作によって行うことができますが，ここでは shell 上でこれらのコマンドを使う練習をしておきましょう．
　
ls -a
ホームディレクトリでコマンドを入力してみましょう．

$ cd [Enter]
$ ls -a [Enter]
. .. .profile dir1 programming
オプションとして -a を付けた場合には，通常は表示されない「．」で始るファイルも表示されます．ls コマンドでは表示されなかった shell の設定ファイル「.profile」が表示されていることに注意してください．また，表示されている「．」は現在のディレクトリを，「．．」は一つ上のディレクトリを示す特別な名前です．例えば cd .. は一つ上のデイレクトリへの移動を意味します． cd コマンドを使ってあちらこちらのディレクトリを移動し， ls コマンドで表示してみましょう．

mkdir ディレクトリ名　
現在のディレクトリ下に新たに指定された名称のディレクトリを作ります．

$ cd [Enter]
$ ls [Enter]
dir1 programming
$ mkdir new_dir [Enter]
$ ls [Enter]
dir1 new_dir programming
　
rmdir ディレクトリ名
指定された名称のディレクトリを消去します．

$ rmdir new_dir [Enter]
$ ls [Enter]
dir1 programming
消去されるディレクトリの中にファイルやディレクトリがあると消去できません．ためしに，中に prog1.c の入っている dir1 を消去しようとしてみましょう．

$ rmdir dir1 [Enter]
rmdir: `dir1': Directory not empty
$ ls [Enter]
dir1 programming
エラーメッセージが表示され．消去は行われませんでした．
　
cp 元ファイル　新ファイル
ファイルをコピーします．ファイル名には *.c のように wildcard 文字を使えます．新ファイルの部分にディレクトリ名を書くと，対応するファイル群が指定されたディレクトリにコピーされます．

$ cd dir1 [Enter]
$ ls [Enter]
prog1.c
$ cp prog1.c prog2.c [Enter]
$ ls [Enter]
prog1.c prog2.c
　
mv ファイル名　パス名
指定したファイルをパスで指定したディレクトリに移動します．もしパス名がファイルの名前ならば，ファイル名を変更します．

$ ls [Enter]
prog1.c prog2.c
$ mv prog2.c new_name.c [Enter]
$ ls [Enter]
prog1.c new_name.c
　
rm ファイル1 ファイル2　...
作業ディレクトリから指定したファイル群を消去します．Wildcardも使えます．ただし，ディレクトリは削除しません．もし，rm -r * とすると，再帰的にすべてのサブディレクトリとその下のファイルも消去します．危険なので慣れるまでは使わない方がよいでしょう．

$ ls [Enter]
prog1.c new_name.c
$ rm new_name.c [Enter]
$ ls [Enter]
prog1.c
　
cat ファイル名
本来はファイルを結合するコマンドですが，テキストファイルの内容をちょっと見たいときによく使います．

$ cd [Enter]
$ cat .profile [Enter]
( .profile というファイルが作ってあればその内容が表示されます)

less ファイル名
テキストファイルの内容をちょっと見たいときに使います．１画面ごとに出力が止まり，「space」で次の１画面を表示します．「q」で元のコマンドモードに戻ります．また，「b」で半画面分元に戻り，「d」で先に進みます．ls -al などの出力が長くて流れてしまうときに，パイプ機能を使って ls -al | less とすると，１画面ずつ読むことができます．

$ cd /etc [Enter]
$ ls -al | less [Enter]

(/etc というディレクトリの下にはたくさんファイルがあります．「space」で次ページ，「q」で終了)

diff ファイル1 ファイル2
２つのファイルを行単位で比較します．

$ cd [Enter]
$ diff dir1/prog1.c programming/sample.c
4c4
< printf("Hello world!\n");
---
> printf("Editors & Cygwin\n");
ファイル１の４行目が，ファイル２の４行目と違っていることが表示されました．このコマンドは，あるプログラムを修正して新しいプログラムを作成した記憶があるがどこを変更したか忘れてしまった，という状況で変更部分を思い出すのに役に立ちます．しかし，本来はどのような変更を行ったのか，プログラムの冒頭にコメントしておくべきでしょう．

5. gcc によるコンパイルと実行

5.1 コンパイルと実行

プログラムを機械語に翻訳（コンパイル）するには gcc コマンドにソースプログラムのファイル名を指定して使います（他のディレクトリにある場合はパスを指定してください）．Cygwin では，翻訳が成功すると，作業ディレクトリに a.exe という名称の実行プログラムファイルが作成されます．

$ cd [Enter]
$ cd dir1 [Enter]
$ ls [Enter]
prog1.c
$ gcc prog1.c [Enter]
$ ls [Enter]
a.exe prog1.c
　
エラーメッセージが表示されて実行プログラムが作成されない場合は， TeraPad の画面に戻って編集・保存後に再度 gcc コマンドを実行しましょう．コンパイルが成功すれば，実行プログラムファイルの名前 a.exe を入力して実行し，結果を確かめます．作業ディレクトリにある実行プログラムを明示するために，「./」を付けることに注意してください． Cygwin では「.exe」を省略することもできます．

$ ./a.exe [Enter]
Hello world!
$ ./a [Enter]
Hello world!
　
保存したい実行プログラムは mv コマンドや windows の機能を使って名前を変えておきます．

$ mv a.exe prog1.exe [Enter]
$ ls [Enter]
prog1.c prog1.exe
$ prog1 [Enter]
Hello world!
　
gcc の -o オプションで作成される実行プログラムの名前を指定することもできます．

$ gcc prog1.c -o prog1.exe [Enter]
　
プログラム中から sin(x) や cos(x) などの数学関数を呼び出している場合は，「-lm」オプションを付けます．

$ gcc prog2.c -lm

5.2 オブジェクト

ここで一度実行プログラムを消去しておきます．

$ rm prog1.exe [Enter]
$ ls [Enter]
prog1.c
　
機械語にはこれまで述べてきた実行プログラムのほかに「オブジェクト」と呼ばれる中間形式があります．この形式は主として分割コンパイルを行う場合に利用されます．prog1.c のオブジェクトを作成してみましょう．

$ gcc -c prog1.c [Enter]
$ ls [Enter]
prog1.c prog1.o
prog1.o がオブジェクト形式のファイルです．
　
gcc を用いてオブジェクトから実行プログラムを作成できます．gcc は指定されたファイルの名前から，Ｃ言語のソースプログラムかオブジェクトかを自動的に判定します．

$ gcc prog1.o [Enter]
$ ls [Enter]
a.exe prog1.c prog1.o
$ ./a [Enter]
Hello world!

5.3 入出力のリダイレクト

標準入力からのテスト用の入力データを別のファイル（例えばtest.dat）に準備してある場合には，下記のようにリダイレクトすると標準入力の代わりに使えます．

$ a.exe <test.dat
　
画面への標準出力の代わりにファイル（例えばtmp.txt）へ出力する場合には，次のようにします．

$ a.exe >tmp.txt

6. Cygwin の終了

Cygwin すなわち Bash のウインドウを終了するには「＾ｄ」（コントロールｄ）を入力します．「＾ｄ」の代わりに「logout」または「exit」というコマンドを実行しても終了します．Bash を終了してもウインドウが消えないときは，ウインドウ右上の「×」アイコンをクリックしします．
　
作成したプログラムに無限ループなどの問題があると，プログラムが実行されたまま終了せず，次のコマンドが入力できなくなることがあります．このような場合には「＾ｃ」（コントロールｃ）を入力して，プログラムを強制的に終了します．何度か「＾ｃ」を入力してもだめな時は，ウインドウ右上の「×」アイコンをクリックして Bash 自体を停止します．ちょっと時間をおいて終了を確認するダイアログが現れます，一度終了した上で「スタート→プログラム→Cygwin→Cygwin Bash Shell」とたどってBash を再起動します．